僕はまんちん

モラトリアム期間満喫中。大学三回生

カルピスは初恋の味

ごきげんよう。今日はいい天気ですね。
映画、ニューシネマパラダイスにおいて主人公が意中の人に「いい天気ですね。」と話し掛けるシーンがある。それも大雨の中で。好きな人の前ではどうして平生を保つことができなくなるのであろうか、つい彼の口からはそんな意味不明な言葉が飛び出したのである。私も今日のこの天気の中、素敵な女性を見かけたら「いい天気ですね!」と話し掛けその後に頭を抱えながら「どうして僕はこんなわけのわからない事を。君の前だと平生で居られない」と嘆きたい。きっと通報される


台風になると私は1人の女性を思い出す。高校時代、私が一方的に惚れていたH田さんのことを。彼女と私は同じクラスになることは決してなかった。しかし互いに体育館で活動する部であったために、ある日のことH田さんを見かけた私が一目惚れ、そこからもうアプローチを仕掛け接近した。
H田さんはセンター分けで物憂げな目をして、無表情。なんだか血が流れていないような冷たい印象、ブレザーの両ポケットに手を突っ込んで廊下を歩いている不思議な女性であった。


当時快活な少年であった私は無謀にもH田さんに連絡先を聞きに行くも

「携帯、持ち歩かないのですよ」

と言われ撃沈。その後H田さんと同級の友人に相談すると、彼女なら携帯を持ち歩かないということも有り得る。ということを聞き、気を取り直す。

後日再び連絡先を聞きにいくと
「ごめん、今日も無いの」
と言われる。相手が予想通りの反応をして来た私はポケットに忍ばせておいた自分の連絡先を綴った紙片をH田さんに渡し

「良かったら連絡ください!」

とその場を後にした。


ここから私とH田さんとは少し仲良くなることができた。人と人とは接する機会が増えればどんどん互いを理解していくことができる。しかし不思議な事に、私はH田さんを知れば知るほどに、彼女の事がどんどんわからなくなるのであった。

H田さんに好きな物を様々聞いてみた。好きなタイプははじめの一歩の鷹村さんと彼女は言った。
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普通ジャニーズや俳優の名を挙げると思っていた私は予想していたベクトルとそもそも全然違う発言を受け狼狽えた。

私が友人と遊んでいるところを写メで撮って送ると、彼女は「これは私の父と、その友人の松本さんと今日食べた銀鱈の煮付けです」と言っておっさん2人と死んだ魚の写メを送りつてきた。

休日に何をするのかという話では「今日はマインスイーパーに集中すると5時間くらいたっていました」と言われた。何を話しても彼女は私の想像を逸した反応をしてくる。自分が彼女に比べて酷くつまらない人間に感じ始めた。

そんな彼女は高校へ自転車でかよっいた。台風が来る日の前日に

「明日は台風、大変そうだね」

と言うと彼女は

「台風は好きよ。天気の中で1番好き。だってわくわくするじゃない」

と答えた。

H田さんと言う人はやっぱり普通じゃないんだな。と感じた。普通台風と言えば誰もが大変な物と感じる。私も例外なくそう感じていた。しかし自分をしっかり持っているH田さんは違っていたのだ。

そして私はこの女性を理解することはできないんだなということを何と無く悟り、私は彼女を諦めた。アンニュイな雰囲気を漂わせる、私好みの女性であるには間違いなかったが、当時の私の手におえる人ではなかったのだ。私は今でも天気が荒れると彼女のことを思い出す。きっとH田さんは今日もわくわくしているのだと。

カルピスは初恋の味、私の恋のお話でした。初恋は小5の時だから少し違うけれど!

今日のバイトにはカルピスを買って行こうと思います。いってきます